用途
熱交換器の伝熱面積は、設備のサイズ・コスト・性能を決める最も基本的な設計量です。必要交換熱量、総括伝熱係数、対数平均温度差(LMTD)から必要面積を逆算することで、シェル&チューブやプレート式熱交換器の概略サイジングや既設機の性能評価を行えます。本計算器は Q = U·A·ΔT_lm の関係に基づいて必要伝熱面積を求めます。
主な用途
- シェル&チューブ・プレート式熱交換器の予備サイジング
- 運転条件変更時の必要面積・余裕の再評価
- 総括伝熱係数Uの想定値に対する面積感度の検討
- ファウリング(汚れ)進行を見込んだ面積マージンの確認
計算式と方法論
定常状態の熱交換器設計式は次のとおりです。
Q = U × A × ΔT_lm × F(したがって A = Q /(U × ΔT_lm × F))
ここで Q は交換熱量[W]、U は総括伝熱係数[W/m²K]、A は伝熱面積[m²]、ΔT_lm は対数平均温度差(LMTD)、F は多パス補正係数です。総括伝熱係数は 1/U = 1/h_i + R_f + (壁の熱抵抗) + 1/h_o のように内外境膜伝熱係数とファウリング係数 R_f から合成されます。LMTD は両端の温度差 ΔT₁、ΔT₂ から ΔT_lm =(ΔT₁ − ΔT₂)/ ln(ΔT₁/ΔT₂) で求めます。
総括伝熱係数Uの目安: 蒸気-水 1,000〜4,000、水-水 500〜2,000、蒸気-有機溶媒 300〜1,000、ガス-ガス 10〜50 W/m²K。
前提条件と制限事項
- 定常状態で熱損失がないものとする
- Uは伝熱面全体で一定と仮定(局所変動は無視)
- 多パス・クロスフローでは F 係数(0.75〜1.0)による補正が必要
- ファウリングの進行や相変化の局在は別途考慮が必要
設計上の注意点
Uの想定値は結果に直結するため、流体・流速・汚れに応じた現実的な値を選定してください。清浄時のUで設計すると運転後にファウリングで能力不足となるため、ファウリング係数を見込んだ余裕面積(典型的に10〜25%)を確保します。F係数が0.75を下回る配置は温度クロスの兆候であり、パス数や台数構成の見直しが必要です。