この計算ツールの用途
本ツールは、定常状態の単一の単相流を加熱または冷却するときの顕熱負荷率を計算します。 質量流量 ṁ を使うため、Q̇ はエネルギー量(kJ)ではなく熱移動率・熱負荷(kW)です。 熱負荷モードでは ΔT = T₂ − T₁ の符号を保持し、正のQ̇は加熱、負のQ̇は冷却を表します。
主な用途
- 単相流の加熱・冷却負荷の算出
- 熱交換器面積計算に渡すプロセス熱負荷の算出
- 必要質量流量または温度差の逆算
計算式と方法論
顕熱移動の場合、熱負荷は次のように計算されます:
Q̇ = ṁ · Cp · ΔT
ṁ を kg/s、Cp を kJ/(kg·K)、ΔT を K で入力すると Q̇ は kW になります。
連続流の熱負荷とバッチの総熱量
連続流では1秒当たりに通過する質量 ṁ を使います。バッチでは槽内の質量 M を使い、一定比熱なら総熱量 E = M·Cp·(T₂−T₁) となります。Mをkg、CpをkJ/(kg·K)とするとEはkJです。槽内質量をこの画面の質量流量欄へ入力しないでください。
例えば水1,000 kgを20 ℃から80 ℃まで加熱すると、E = 1,000×4.18×60 = 250,800 kJです。一定の正味加熱能力100 kWを仮定した理想時間はE/Q̇ = 2,508 s(41.8分)ですが、槽壁の熱容量、周囲への損失、温度差の変化は含みません。バッチ時間の概算にはタンク加熱時間計算を使い、その仮定も確認してください。
このモデルの適用外と次の計算
蒸発・凝縮、反応熱、複数流体の混合や熱交換を含む全体エネルギーバランスは対象外です。相変化や大きな物性変化ではQ̇ = ṁ·(h₂−h₁)を使い、基準状態を揃えたエンタルピー、反応熱、熱損失、必要に応じて蓄熱項を含む収支を別途組み立てます。比熱が温度で変わる単相流ならΔh = ∫Cp(T)dTで評価します。
得られた顕熱負荷と温冷側温度からLMTDを求め、総括伝熱係数を別途選定して伝熱面積を概算します。蒸気利用時は蒸気物性で状態を確認し、蒸気と凝縮水のエンタルピー差から必要量を検討します。自動的な設計余裕や一律の精度保証は与えません。
前提条件と制限事項
- 相変化なし(顕熱のみ)
- 温度範囲で比熱一定
- 定常運転
- 反応熱なし、単一流のみ(多流体の全体収支ではない)
- 逆算モードの入力熱負荷は正値のみ。反対符号の入力で返る負の質量流量は物理的な流量ではない。冷却時も熱負荷とΔTには正の大きさを使い、除去熱の向きは別管理
設計上の注意点
相変化、反応熱、周囲への熱損失は別項として収支に加えてください。 ファウリングは主に総括伝熱係数と必要伝熱面積に影響し、プロセス流体の顕熱負荷そのものを増やす項ではありません。