配管肉厚計算ツール(ASME B31.3)
プラント・プロセス設計向けエンジニアリング計算ツール · 最終更新: 2026年3月
ASME B31.3に基づく配管必要最小肉厚計算です。設計圧力・外径・許容応力・継手効率・腐食代から必要板厚を算出します。配管スケジュール選定、材料選定に活用します。
配管肉厚計算(ASME B31.3)
配管の必要最小肉厚はASME B31.3「プロセス配管」規格に従って計算します。設計圧力に対して配管が十分な強度を持つかを確認するための基本計算です。
主な用途
- 設計圧力・温度に対する配管スケジュール(Sch)の選定
- 材質・温度に応じた許容応力からの肉厚チェック
- 腐食性流体に対する腐食代を含めた必要肉厚の決定
- 既設配管の減肉評価(残存肉厚 vs 必要肉厚)
計算式と方法論
内圧に対する必要最小肉厚は ASME B31.3 式304.1.2 で求めます。
t = P × D / [2 × (S × E + P × Y)]
ここで P は設計ゲージ圧力[MPa]、D は管外径[mm]、S は許容応力[MPa](材料・温度依存)、E は溶接継手効率(継目無し1.0、溶接0.85〜1.0)、Y は温度係数(通常0.4)です。実際の発注肉厚は t_min = t + 腐食代(一般に1.5〜3.2mm)に製造公差(圧延配管は約12.5%のマイナス公差)を見込んで決定します。
前提条件と制限事項
- 内圧による円周方向応力に対する評価(直管部)
- 外圧・座屈、曲げ・熱応力などの複合荷重は別途評価が必要
- 許容応力 S は運転温度での値を用いる
- エルボ・分岐部は別規定(局部減肉・補強)を適用
設計上の注意点
計算肉厚に腐食代と製造マイナス公差を加味し、最終的に市販スケジュールへ丸めます。低温・脆性破壊や水撃(ウォーターハンマー)など過渡圧力も設計圧力に織り込むべきです。減肉管理ではAPI 574などに基づき、検査周期内に必要肉厚を下回らないことを確認してください。
計算例
条件:
- 設計圧力 P = 2.0 MPa、外径 D = 168.3 mm(NPS 6)
- 許容応力 S = 110 MPa(A106-B)、E = 1.0、W = 1.0、Y = 0.4
- 腐れ代 CA = 3.0 mm
方法: ASME B31.3: t = P·D/(2·(S·E·W + P·Y)) = 2.0·168.3/(2·(110 + 2.0·0.4)) ≈ 1.52 mm、必要 = t + CA。
結果: 圧力肉厚 ≈ 1.52 mm、CA込み ≈ 4.5 mm。Sch 40(7.11 mm)で十分。
解釈: 本ラインは圧力がほとんど効かず、腐れ代と最小市販スケジュールが支配します。中圧ユーティリティ配管では一般的です。実質の確認は、Sch 40からミル公差(−12.5 %、≈ 6.2 mm)を引いても必要4.5 mmを上回ることです。
よくある誤用・注意点
- 計算最小肉厚で発注すること — ミル公差(シームレス12.5%)を差し引いてもtmin+腐れ代を上回る次のスケジュールを選定します。
- B31.3の肉厚式からY係数(約480℃以下のフェライト鋼で0.4)を落とすこと — 必要肉厚を過小評価します。
- 設計圧力ではなく運転圧力を使い、溶接管の継手品質係数Eを省くこと。
- t/Dが大きい厚肉・高圧配管に薄肉式を適用すること — 厚肉理論での扱いが必要です。
よくある質問
円筒胴肉厚計算との違いは?
この計算機は配管肉厚用です。「円筒胴肉厚計算」は圧力容器胴用で、内半径 R を t = P·R/(S·E − 0.6P) + CA に使用します。対象機器が異なるため混用しないでください。
計算値をそのまま調達に使えますか?
いいえ。計算値は必要最小肉厚です。調達では、ミル公差を差し引いても十分な肉厚を持つ次の標準配管スケジュール(Sch 40、Sch 80等)を選定する必要があります。
利用上の注意
- 更新: 2026年3月
- 用途: 予備エンジニアリング検討支援
本ツールは教育および概算検討を目的としています。計算結果は、前提条件、入力値、流体・材料物性、使用式の適用範囲によって大きく変わる場合があります。設計、調達、製作、運転、安全上の判断に使用する前に、重要な計算は必ず独立して検証し、適用規格・仕様書および正式な設計レビュー手順に従ってください。